たかが命綱、されど命綱。
学校とか会社とか、「やらなきゃならないから」って理由をくれるそれらを使って、“許容範囲”の内側を進んできた気がする。
倒れたりしないように、壊れたりしないように、かつ誰にも迷惑は掛けないように、ちょっとずつ、“許容範囲”からははみ出さない程度に、休んだりしてやってきた。
でも、「この“許容範囲”に留めてくれる命綱を解いたら、私はどこに行くんだろう」と思う。
「というか、そもそも“許容範囲”って、何に許容されて定められてんの」と思う。
許容範囲から出ちゃダメなのか?
飛び出すには遅すぎたのか?
今更やったら致命傷?
何もかもがしがらみに思える。
社会とか会社とか稼ぐとか働くとか、そんなこと何も知らずに働き始めて、寮に入って、体力も無いのにザ・体力勝負みたいな仕事して、疲れて。
学生時代に手を伸ばしておくべきだったことが今更気になって、今なら手が届きそうなのに、命綱が体に絡まってるみたいな。
この命綱、離したらきっと苦労する。
何も分からないのに、何も武器も無いのに、いきなり振り解けるのか?
どうせ解くことなんか無いから、今じゃなくて良いだろうって、そうやって見過ごしてきた知識とか技術が今更惜しい。
どうすればいいんだろう。
どうすれば“いい”って、何が“いい”なんだろう。
正解なんか無いけど、今の私の最善って何なんだろう。
最善を選ばなきゃならないんだっけ。
最善なんて選べるものなのかな。
最悪じゃなければいいのかな。
最悪って何なんだろう。
私もう頑張った?
頑張りって人それぞれじゃないのか?
とはいえ「それはまだ頑張ってないよ」って言葉が痛い。
でもそもそも頑張ってからじゃなきゃ辞めちゃいけないのか?
頑張るっていつまで?
一年もいたら辞められなくなっちゃうんじゃないの?
どのくらい頑張ればいいの?
そのうちに、今この命綱を手放してみたいって気持ちは、消えちゃうんじゃないの。